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≪ベスプレ検証 3≫

≪検証 その1≫ タイプB投手の『切れ』と『制球』

≪再検証≫ タイプB投手の『切れ』と『制球』 その2

≪検証 その2≫ 『信頼』、『対左』、『打撃指数』による打撃成績への影響

≪検証 その3≫ 投手の『技術』


≪検証 その3≫ 投手の『技術』

投手のパラメータの中で一番決めづらいのが『技術』ではないだろうか。
『球速』や『制球』、『スタミナ』などは、リアル(実際)の成績からある程度見て取れるだろうが
『技術』は「ゴロ率」といった目安はあるものの、打ち損じた結果のゴロなのか、狙って打たせた結果のゴロなのか
それを数字を見ただけで判断するのは難しいだろう。

ベスプレ全書には「『技術』とはバットの芯を外す上手さであり、高ければ内野ゴロが多くなる」とある。
また「被本塁打率は大きく変化し、奪三振率、与四死球率へはほとんど影響しない」ともある。

S〜E評価の投手パラメータは『切れ』、『制球』、『安定』、『球質』、『技術』、『スタミナ』の6項目。
その数少ない厳選された項目の一つである『技術』。
実際にはどんなものなのか、どの程度の存在なのか、検証してみることにした。


今回の実験用データは

12球団全てをオリジナルデータの≪読売ジャイアンツ≫に変更
先発3投手のパラメータの良さと、守備・攻撃のバランスで選びました。
1リーグ制、DH制無し、延長15回、日程は総当りの132戦
特に深い意味はありません。
先発3投手の投球タイプを「A・B・C」と「A+・B+・D」の2つのグループに分ける
そこから更に「A・B・C」「B・C・A」「C・A・B」とタイプの並び順を変える。同じ並び順のチームはリーグ内に4チームづつとなる。
同様に「A+・B+・D」「B+・D・A+」「D・A+・B+」のパターンも用意。
こうすることで、パラメータの差異や先発順などの有利不利性を少なくできると考えました。
監督データの『エースの信頼度』を「-2」に変更
考え方は上記に同じ。エース(先発1)を贔屓させない為。

それ以外はオリジナルデータのまま。

≪参考:先発3投手のオリジナルデータ≫
P 工藤 L A 144 A A A C B B 20 200
P メイ L B 144 A B B B C B 22 200
P 上原 R B 144 B A B D D A 22 200


先発3投手の『技術』をそれぞれA〜Eに変化させ、各10シーズン計20シーズン行った。
計測の結果は以下の通り。太字の数値はその項目内での最高値。

まずは各計測項目の説明から。

防御率〜奪三振
これは見たままですから今更説明は要らないでしょう。
被安打率〜奪三振率
各数値を”投球回”で割り、出た数に9を掛けたものです。
1試合(9回まで)投げきった場合にいくつになるかを表します。
回/本塁打〜回/四死球
率の数が小さすぎて比較しづらいので、”投球回”を各数値で割ったものです。
1つ出るまでに何回(イニング)かかったかを表します。
失策平均
ベスプレでは失策と記録されるケースが限られているので、実際のプロ野球の成績と比べると格段に少ないです。
得失点平均
計測しなくても良いかと思いましたが一応参考までに。
リーグ全体の成績では「総得点=総失点」となるので「得失点」としました。
高低差
最高値と最低値との差です。
小数点以下の四捨五入具合によっては、表の(見た目上の)数字と計算が合わない場合があります。
type A 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 53.53 1819.53 1936.3 260.7 514.2 1692.9 9.58 1.29 2.54 8.37 6.98 3.54
技術 B 53.41 1805.60 1920.7 261.7 518.4 1709.6 9.57 1.30 2.58 8.52 6.90 3.48
技術 C 55.88 1801.47 1956.3 281.5 514.3 1702.2 9.77 1.41 2.57 8.50 6.40 3.50
技術 D 57.51 1787.87 1939.1 287.2 512.4 1698.6 9.76 1.45 2.58 8.55 6.23 3.49
技術 E 58.22 1781.57 1945.6 294.7 505.3 1727.7 9.83 1.49 2.55 8.73 6.05 3.53
高低差 4.81 37.97 35.6 34.0 13.1 34.8 0.25 0.20 0.04 0.35 0.93 0.06


type B 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 53.79 1823.73 1952.9 257.0 490.1 1683.3 9.64 1.27 2.42 8.31 7.10 3.72
技術 B 53.66 1812.07 1921.2 266.0 500.4 1677.8 9.54 1.32 2.49 8.33 6.81 3.62
技術 C 56.87 1800.17 1955.0 276.7 508.5 1689.8 9.77 1.38 2.54 8.45 6.51 3.54
技術 D 57.05 1790.03 1958.1 286.2 505.7 1683.4 9.85 1.44 2.54 8.46 6.25 3.54
技術 E 57.28 1788.43 1949.6 292.8 503.8 1699.3 9.81 1.47 2.54 8.55 6.11 3.55
高低差 3.62 35.30 36.9 35.8 18.4 21.5 0.30 0.21 0.12 0.24 0.99 0.18


type C 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 56.29 1801.23 1991.7 267.4 490.7 1523.9 9.95 1.34 2.45 7.61 6.74 3.67
技術 B 58.10 1789.33 1994.5 286.1 493.7 1520.4 10.03 1.44 2.48 7.65 6.25 3.62
技術 C 58.08 1784.47 1985.7 289.3 500.1 1532.6 10.01 1.46 2.52 7.73 6.17 3.57
技術 D 58.72 1776.80 1997.5 298.3 497.3 1536.3 10.12 1.51 2.52 7.78 5.96 3.57
技術 E 59.15 1779.53 2025.6 302.1 476.9 1539.1 10.24 1.53 2.41 7.78 5.89 3.73
高低差 2.85 24.43 39.9 34.7 23.2 18.7 0.29 0.19 0.11 0.17 0.85 0.16


type A+ 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 54.51 1800.03 1946.5 258.1 512.9 1640.1 9.73 1.29 2.56 8.20 6.97 3.51
技術 B 55.01 1804.17 1936.5 272.4 502.5 1686.5 9.66 1.36 2.51 8.41 6.62 3.59
技術 C 55.71 1793.43 1930.8 285.9 519.4 1694.8 9.69 1.43 2.61 8.51 6.27 3.45
技術 D 58.14 1789.37 1959.1 289.6 508.9 1699.4 9.85 1.46 2.56 8.55 6.18 3.52
技術 E 56.33 1795.37 1941.6 306.2 498.4 1696.8 9.73 1.53 2.50 8.51 5.86 3.60
高低差 3.63 14.80 28.3 48.1 21.0 59.3 0.19 0.24 0.11 0.35 1.11 0.15


type B+ 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 54.87 1808.90 1947.9 264.1 493.4 1683.6 9.69 1.31 2.45 8.38 6.85 3.67
技術 B 53.76 1810.67 1915.7 268.9 511.1 1714.2 9.52 1.34 2.54 8.52 6.73 3.54
技術 C 53.37 1829.03 1942.8 277.1 494.7 1726.1 9.56 1.36 2.43 8.49 6.60 3.70
技術 D 57.29 1805.17 1957.9 297.4 505.2 1732.4 9.76 1.48 2.52 8.64 6.07 3.57
技術 E 57.35 1791.23 1952.9 301.9 501.0 1724.7 9.81 1.52 2.52 8.67 5.93 3.58
高低差 3.98 37.80 42.2 37.8 17.7 48.8 0.29 0.20 0.11 0.29 0.92 0.15


type D 防御率 投球回 被安打 本塁打 四死球 奪三振 被安打率 本塁打率 四死球率 奪三振率 回/本塁打 回/四死球
技術 A 57.54 1797.17 2003.3 275.2 504.0 1530.3 10.03 1.38 2.52 7.66 6.53 3.57
技術 B 58.43 1796.87 2008.4 276.9 493.6 1535.7 10.06 1.39 2.47 7.69 6.49 3.64
技術 C 58.91 1771.33 2002.2 289.5 498.2 1530.9 10.17 1.47 2.53 7.78 6.12 3.56
技術 D 60.42 1777.23 2006.7 299.3 500.6 1549.2 10.16 1.52 2.54 7.85 5.94 3.55
技術 E 60.84 1774.43 2007.0 310.2 512.6 1554.1 10.18 1.57 2.60 7.88 5.72 3.46
高低差 3.30 25.83 6.2 35.0 19.0 23.8 0.15 0.20 0.13 0.22 0.81 0.18


type A/B/C 失策平均 得失点平均 type A+/B+/D 失策平均 得失点平均
技術 A 466 8353.3 技術 A 469 8335.1
技術 B 476 8261.8 技術 B 466 8391.1
技術 C 479 8450.2 技術 C 460 8332.6
技術 D 474 8541.2 技術 D 473 8538.8
技術 E 479 8541.2 技術 E 464 8437.9
高低差 13.3 279.4 高低差 12.9 206.2

※補足
”防御率〜奪三振”までと”失策平均、得失点平均”の数値がやたら大きいのはリーグ(12チーム分)の合計だからです。
この数値を12で割るとチーム或いは1人あたりの数になるのですが、見ての通り総合計であってもその差が僅かしか見られません。
例えば”type B+ 被安打”を見てみると、最高値1915.7に対して最低は1957.9、その差は42.2。
一見差があるようにも見えますが、1915.7、1957.9、42.2をそれぞれ12で割ると159.64、163.16、3.52です。
年平均で160前後という数に対しての約3.5という差は、誤差の範囲として見落としてしまう或いは見逃してしまうかもしれないので
今回はあえて数値を大きくした総合計をとっています。


『防御率』
概ね『技術』の値が高い方が良い傾向にありますが、その差は『制球』の時と比べると少なめ。
直球割合の高いタイプA・B系が『技術A〜C』ではあまり変わらないのに対して、『技術D〜E』になると悪くなる傾向が見られ
変化球主体のタイプC・Dでは『技術A』から『技術E』に向けてだんだんと悪くなる傾向が見られたのは興味深いところです。

タイプA・B系については、もしかしたら他のパラメータとの兼ね合いで相性みたいなものが出たのかもしれません。
今回のテストに使った3投手は『切れ』と『制球』が良いので、変化球を割りとよく使う投球スタイルになると思います。
反面平均球速は144km/hと、MAXなら武器になるだろうけどMINなら打ちごろという、ベスプレ的に微妙な速さです。
『投球回』
こちらも『技術』が高い方が良い傾向にありますが、数値の割に差の値が小さいので、ほんの気持ち程度良くなる感じでしょうか。
むしろ『技術』による『被安打』や『被本塁打』、『四死球』などの影響によって、『投球回』が変化していくのかもしれません。
『被安打』・『被安打率』
『被安打』だけ見ると、差の値が小さいですし、『技術』の影響が無いようにも見えます。
ただ『被安打率』で見ると、僅かながらも高低の傾向が見られるような気が・・・。
『(被)本塁打』・『(被)本塁打率』・『回/(被)本塁打』
他の項目と比べるときれいに傾向が出ました。
差の方も、他と比べて数値が小さい割に差が大きく、『回/本塁打』で見るとどのタイプでも1回(イニング)分くらい差が出ています。
『(与)四死球』・『(与)四死球率』・『回/(与)四死球』
どれで見ても誤差程度の差しかありません。
『奪三振』・『奪三振率』
僅かながら『技術』が低いほど増える傾向が見られます。
もしかすると『切れ』の時のように、変化球割合(配球)が変わって直球が増えるから、かもしれません。
『失策』・『得失点』
内野ゴロが多くなるならばその守備機会の分だけ失策が増えるかも?と期待していましたが、結果はほぼ変化無し。
ただし、内野守備力(特に二遊間)が低いチームだと数字に出てくるかもしれません。
得失点はやや傾向が見られる気がするものの、数値の大きさからするとその差は僅かです。


<総括>
ベスプレ全書にある通り、被本塁打の変化が大きく、奪三振や与四死球への影響はほとんど見られませんでした。
その他の結果を見ても僅かな変化と傾向は見られるものの、影響の度合いは少ないようです。

ではなぜ『技術』が被本塁打にだけより影響を及ぼすのか?
私が思うに、『切れ』の時とはまた違った球の極僅かな変化を表わしているのではないか、と考えます。
それが「バットの芯を外す上手さ」であり、投球術ということなのだと思います。

内野ゴロの数への影響は、結果の数字だけでは分かりませんでした。
スコアを全部チェックすれば内野ゴロも併殺数も分かりますが、さすがにそこまでは調べられませんね・・・。

※補足2
「被本塁打が増えるのに、防御率や得失点の変化が少ないのはなぜか?」と思われるかもしれませんが
例えば一番成績差が出た”type A+ (被)本塁打”の場合でも、合計の高低差で48.1、一人あたりにするとシーズン4本ほどです。
数ある失点シーンの内の4回ですから、その他の場面の中に埋もれてしまって目立たないのだと思われます。


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